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新種ヤミ金が繁盛するワケ...摘発業者は月300万円で豪遊、取り締まる法律なく放置(産経ニュース)

新種ヤミ金が繁盛するワケ...摘発業者は月300万円で豪遊、取り締まる法律なく放置(産経ニュース)

 今年6月から全面施行された改正貸金業法。借入額が収入の3分の1に制限される総量規制などが盛り込まれ、多重債務の要因となった従来の過剰資金供給に歯止めがかけられる形となったが、一方でクレジットカードを悪用した現金化という新商法も横行し、中には1億円超の所得を隠して脱税で告発される金満業者まで登場。"新種ヤミ金"は借り入れをはじかれた階層のニーズを取り込み、その浸透力を増しているとされる。取り締まる法律がないグレーゾーンでの繁殖を食い止めることはできるのか-。(花房壮)

■元ヤミ金業者、豪遊の日々

 「毎月300万円前後を遊興費などに使っていたようだ。3年間でざっと1億円超。所得隠しとして指摘された金額をほぼ遊びに使っていたことになる」

 こんな豪遊の日々を送っていたとされるのは、10月に東京国税局から所得税法違反の罪で告発されたことが明らかになった東京都目黒区、物品販売業の福場秀樹氏(32)である。関係者によると、福場氏は平成20年までの3年間で約1億3千万円の所得を隠し、約4300万円の所得税を免れたとされる。

 福場氏に"あぶく銭"をもたらしたのは、クレジットカードを使った現金化商法だった。手口はこうだ。

 資金を必要としている人に対し、クレジットカードのショッピング枠を使って安価な雑貨などの購入を勧誘。1個10万円前後で購入させ、手数料を引いた残りの8割前後の金額をキャッシュバックする-といったものだった。

 「福場氏の場合、現金化の勧誘をインターネットサイト上で行っていた。ゴルフボールを乗せるティーなどを10万円前後で販売し、8~9割をキャッシュバックしていたようだ」(関係者)

 17年ごろまでヤミ金業を営んでいた福場氏は、警察当局の取り締まりが強化されるなどしたため、18年ごろからクレジットカードを使った現金化商法にシフトしたとみられる。

 消費者金融の貸し出し規制が導入された18年の貸金業法改正以降、クレジットカードを使った不正な現金化は法規制をかいくぐる新手の「ヤミ金」として横行し、これまで国税当局も税務調査で計数億円の追徴課税を行ってきたが、業者が告発されたのは初めてだった。

 福場氏の手口は悪質だった。複数のクレジットカード現金化の店舗を経営し、その各店長名義で銀行口座を開設。そこに振り込まれた現金を全く税務署に申告していなかったという。

 「ヤミ金時代の金満生活が忘れられなかったのか。いずれにせよ、あぶく銭は身に付かない」

 業界関係者はそう漏らした。

■法改正後の受け皿にも

 「半信半疑で申し込んだら、本当にすぐにお金が振り込まれて驚いた」

 クレジットカードによる現金化商法を3年前に初めて利用した都内の50代男性は、そのときの記憶をこう語った。

 当時、人材派遣会社を経営していたが、税金の滞納などで金融機関からの資金調達が困難となり、複数の消費者金融から借りていた。それでも、資金が必要となったとき、業者側から「クレジットカードのショッピング枠を使って現金化できるのをご存じですか」と電話で勧誘された。

 自身の生活費を工面するため、男性は20万円を試しに申し込んだ。クレジットカード番号と銀行口座を伝えると、約10分後にはネット口座に約16万円が振り込まれていたのだ。

 その際、業者側から「つまらない物が後日、送られてくると思いますが...」と言われた男性は数日後、小箱に入ったおもちゃの指輪を受け取った。

 男性はシステム上、その指輪を20万円で購入し、業者の手数料を引いた16万円がキャッシュバックされたことになる。

 その後も7~8回利用した男性は、クレジット決済の引き落としまでには別の資金を調達し、返済していたという。

 クレジットカードを使った現金化は利用規則違反であり、発覚するとカードが利用できなくなるが、それでも男性はこう言う。

 「事業が難航すると銀行はなかなか金を貸してくれない。補助金申請も時間がかかる。そういう中で、クレジットカードの現金化は、すぐ必要な生活資金や事業のつなぎ資金を調達するのに便利。生きていくにはとにかく金が必要なんです」

 こうした業者は貸金業法改正後、資金調達が困難となった人々の需要の受け皿となっているようだ。

 現金化業者は全国に200業者以上いるとされ、1万以上のサイトを運営しているとみられる。

 東京情報大の堂下浩准教授の調査によると、消費者金融大手7社の貸付残高は今年8月現在、3兆7千億円でピーク時の半分以下に縮小。18年12月の貸金業法改正後、その傾向は鮮明となっている。

 一方、総量規制などで借り入れができなくなった人々はどこに資金を求めたのか。

 堂下准教授は「親族や知人からの借り入れに頼る傾向が強くなっている。また、クレジットカード現金化の利用も増えている」と話す。

 クレジットカード現金化商法について、堂下准教授は「一種の疑似ヤミ金」と位置づけ、その特徴については「他の融資に比べて振り込みまでのスピードが速く、いわば時間軸を巧みに利用した商法」と指摘する。

■取り締まる法律なし

 返済できるうちは問題ないが、何らかの事情で滞ると、損をかぶるのは現金化業者ではなく、買い物の立て替え払いをするクレジットカード会社となる。

 「いうなれば、現金化業者によるクレジットカード会社への詐欺行為。利用者はそこに加担しているともいえる」

 社団法人「日本クレジット協会」(東京都中央区)の担当者は不正行為の横行にいらだちを募らせる。

 クレジットカードの現金化はカード会社との加盟店契約違反であり、利用者にとっても規約違反である。それでも、ネット上から勧誘サイトが消えていく兆しはない。中には還元率の高い"優良店"を比較するサイトまで登場している。

 勧誘サイトの氾濫(はんらん)状況について、同協会の担当者は「サイトに出ているメールアドレスやフリーダイヤルは本物だが、代表者名や店舗住所は偽名で、本当の経営者までたどり着くことができない」と頭を抱える。

 法律でも現金化業者の取り締まりは現状では難しい。

 まず、現金化業者は貸金業者ではないので、貸金業法は適用されない。貸し付けではなく、あくまでもクレジットカード利用に伴う特典としてのキャッシュバックなのである。「放置すべきでないことは分かっているが、貸金業法の対象外なので何ともならない」と金融庁関係者も匙(さじ)を投げる。

 可能性として残るのは、詐欺罪の適用だが、これも容易ではないようだ。

 カード業界関係者は「クレジットカード会社をだます目的で利用したのを立証することに加え、そもそも利用者が"加害者"として名乗り出てくることはまずない」と摘発の難しさを指摘するが、「ただ、このまま野放しにしていてはいけない。業者が荒稼ぎした金は暴力団の資金源になっている可能性も十分ありえる。関係省庁の間で法整備などを進めてほしい」と対応策の必要性を訴えた。

 資金需要がある限り、法律の穴を見つけてビジネスを行う業者は必ず出てくる。法律のグレーゾーンに浸透するクレジットカード現金化業者への対応は急務といえる。